増える空き家

人口減少や高齢化を背景に、空き家が年々増加しています。2013年の総務省の調査によると、空き家は全国で約820万戸。兵庫県では35万6500戸あります。

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 人口減少や高齢化を背景に、空き家が年々増加している。2013年、総務省が実施した「住宅・土地統計調査」によると、空き家は全国で約820万戸(空き家率13.5%)と過去最多を記録。兵庫県では35万6500戸(同13.0%)で、前回調査時の08年より約2万戸増えた。

兵庫県内では地域間で「格差」

 兵庫県内の空き家率をみると、4.9%の猪名川町から28.0%の加東市までばらつきがある。都市部では低く、北播、西播、但馬、丹波、淡路などの中山間地域で高くなる傾向だが、神戸市西部でも高い数値がみられた。

兵庫県内市区町・空き家率(2013年)
緑色が濃いほど、空き家率が高い市町。
地図をクリックすると、その場所の(1)市区町名(2)空き家率(3)空き家の数(4)高齢化率 を表示します。
Map tiles by CartoDB, under CC BY 3.0. Data by OpenStreetMap, under ODbL.

農村部でも、都市部でも、深刻化。

「切羽詰まった状況」

 空き家の中でも、住人が不在で放置されがちな「その他の住宅」に分類される住戸の割合が21.4%(1750戸、建物ごとに計上)と県内で最も高い佐用町。標本調査である「住宅・土地統計調査」とは集計方法が異なるが、同町も独自に集計し、これまでに約600軒(世帯ごとに計上)が確認された。

 近年、美しい農村風景や地域コミュニティーとの関わりを求め、都市部から町内の空き家に移り住む事例もある。同町定住対策室は「切羽詰まった状況だ。空き家が朽ち果ててしまってからではもう遅い。そうなる前に地域と協力し、利活用に向けた制度をきっちり整えていきたい」としている。

高齢化と共に、都市部でも

  空き家問題は都市部でも深刻化している。神戸市長田区では高齢化率が3割を超え、空き家率が18.0%と市内で最も高い。過去約20年間で見ると、同区では阪神・淡路大震災後、高齢化の進展と共に空き家率が一気に増えた。市内全体では住宅の総数は増えたものの、空き家率は増加傾向にある。

神戸市9区・空き家率と高齢化率、住宅総数の関係(1988〜2013年)
縦軸を空き家率、横軸を住宅総数として、25年間の各区の状況をプロット。
それぞれの点にマウスオーバーすると、区名のほか詳しい数字を表示します。
それぞれの点の色は高齢化率をあらわし、赤くなるほど高齢化が進んでいます。
下のスライダーを動かすと、経年変化がわかります。
空き家率(%)
住宅総数(戸)

選んだ区の経年変化を線で結びます。複数選択すると比較しやすくなります。
Graph by Google Chart, under CC BY 3.0.

一方で、利活用の試みも始まりました。

空き家の所有者と利用希望者をつなぐ

 神戸市内で空き家率が最も高かった長田区では、市民らが利活用に向けた試みを続けている。

 同区南部(駒ケ林・真陽地区)の所有者と利用希望者をつなぐ「空き家・空き地再生支縁ネットワーク」(通称・空き縁ネット)。市の地下鉄海岸線・市街地西部活性化プロジェクトの一環で、住民、NPO、事業者らが集まり、3月に発足した。直後の空き家見学会では、開催後に利用希望者から数件問い合わせがあり、入居などの話し合いが進んでいるという。

 同ネットによると、駒ケ林地区の空き家、空き地、駐車場は計約260カ所に上る。阪神・淡路大震災で倒壊した住居が取り壊された後、再建されないケースが相次いだり、郊外や中心市街地への人口流出、高齢化が進んだりしたことが要因という。

 近隣では昨秋、空き家を改修した「アトリエKOMA(こま)」が開設。発達障害を持った学生らが通う「エコールKOBE」(長田区)の美術部員が活動を続けている。美術担当講師の中元俊介さん(28)は「リフォームし、自由に創作活動に打ち込めるのはありがたい。町中にあるため地域の人とも交流できる」と魅力を語る。
 同ネット代表世話人の松原永季さん(49)によると、この地域は古くから木造家屋が密集し、所有者の権利が細分化されているという。土地の境界がはっきりしないことも多く、一般の不動産市場に物件が出回りにくいとされる。

 松原さんは「マッチングさせる仕組みが必要。家賃が高くなく、改修しやすい点は高齢者、障害者など社会的に立場が弱い人にとって有力な選択肢になる。交流会や地域での活動を通じ、利用者、所有者、住民らが互いに信頼関係を築いていくことが大切では」と話している。


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